名古屋の女子大生が起こした殺人事件のおぞましさは常軌を遥かに逸している。高校の同級生にも毒を盛って障害を負わせた事実もあるというのだから言葉を失うとしか言えない。昨年起きた佐世保の高校生による殺人事件とも状況がほとんど一致するこの事件の異様さは何なのだろうと多くの人は思うだろう。

猟奇的な殺人事件を平然と行う、周到な準備の割にずさんな犯行、あいまいな動機と訳の解らない供述、後悔も反省も一切ない、しかも女子学生が・・・。

この狂気は一体どこから来るのだろう。キチガイのようでもあるが学校に通いインターネットにも精通していて、どうにも理解不能な事実がそこには存在している。

不幸な生い立ちや劣悪な成育環境が歪んだ性格を作り出す・・・心理学者や精神科医は言い古されたフレーズを口にするが「なぜそんなことが起きるのか?」を具体的に説明できた人はいない。不幸な生い立ちを持った人全員が「狂気」を持つわけではない。

このような狂気を持った「サイコパス」と呼ばれる人間が起こす猟奇的な事件は世界中に存在する。大勢の専門家が狂気の起こるメカニズムを研究しているが明確な答えはいまだ見つかっていない。

私は狂気の起こる様とそれが消えて行く過程を目の前で見た。息子に同じことが起きたのだ。11歳のあの日まで他の子よりは成長が遅いものの、陽気でやさしく狂気はどこにも存在しなかった。そしてあの日から7年がたった今現在も狂気は全く存在していない。しかし、あの日から息子は別人となり、母親の首を本気で締め、暴力をふるい、動物を虐待、刃物に興味を持って・・・。何が起きたのか、なぜ起きたのか、どうして収まったのか?精神科医は何も説明してはくれなかった。私は7年間その答えを探し続け、誰も出せなかった答えを導いた。科学的根拠に基づいたすべてのつじつまの合う答えを否定できる専門家はいないはずだ。

●狂気は統合失調症

まず初めにこの狂気は「生まれ持った性格」でもなく「親の教育」の問題でも「学校の教育」の問題でもないことをはっきりさせておこう。成育環境はもちろん重要な意味を持つが虐待と言えるようなことをしていない限り「責められるべき」点があるとは言えない。

順を追って説明し行こう。

   基本的に「ストレス」によって後天的に発生する。

この狂気はストレスが前頭葉を萎縮させてしまうことによって起きる「統合失調症」の症状である。統合失調症は一般の方が考えるものより実際にはとても範囲が広く適応障害、うつ症状、不安障害、引きこもり、不登校、発達障害、家庭内暴力、キレる、自殺など「正気を失う」症状が統合失調症の誤診、前兆現象であることを著名な精神科医が指摘、立証している。

   ストレスに弱い遺伝特性を持つ人に発症する

統合失調症はCOMT遺伝子多型など「ストレスに弱い遺伝特性」を持つ人に発症することが解っている。この遺伝特性は日本人を含むユーラシア大陸のモンゴロイド、スラブ人、イヌイットに多く存在し白人、黒人、南北アメリカのインディオにはほとんど存在せず、アボリジニは100%この遺伝特性を持っていると考えられる。

ストレスに遭うとストレス耐性が弱くなり、小さなストレスでも発症するようになる。

   ストレス時に過剰分泌される自前の麻薬・覚せい剤・麻酔薬による中毒症状

ストレス時には適応のためストレスホルモンが過剰分泌される。ストレスホルモンには睡眠抗不安作用を持つ麻薬成分、興奮作用を持つ覚せい剤成分、麻痺作用を持つ麻酔薬成分が含まれている。ストレスに弱い遺伝特性を持つ人はこれらの成分を分解する能力が低い。分解されないこれらの成分が感情・情動をコントロールするNMDA受容体の機能を低下させ、前頭葉神経細胞のアポトーシス(自殺現象)を招くことによって脳細胞が死滅し前頭葉の萎縮が起きる。間接的ではあるがすでに科学的に証明されている事実である。

   睡眠薬、抗不安薬、抗うつ薬、違法薬物、アルコールは統合失調症を発症・悪化させる。

麻薬や覚せい剤、が統合失調症と「酷似」した中毒症状を起こすことはすでに知られている。ストレス時と同じことが起きるのだから当然である。精神科医が処方する睡眠薬、抗不安薬、抗うつ薬も同じことを起こす。膨大な数の症例が存在するが、科学的に証明されているこの事実を精神科医は否定し続けてきた。そこには欧米での発症が少ないという逃げ道があったからだと思われる。薬物が引き起こす作用はストレスの比ではない。

   統合失調症は「感情の赤ん坊化」「人格のリセット」である

統合失調症の症状は記憶や知識は年齢のまま、前頭葉に記録されていた感情(人格、社会性、理性、愛情)の記憶が消失し、赤ん坊や胎児の状態に半永久的にリセットされることによって起きる。すべての症状がそれによって説明が可能である。前頭葉の脳梗塞であるこの症状は脳梗塞の後遺症「脳血管性認知症」と同じものである。脳波の赤ん坊化、前頭葉の活動レベルが赤ん坊化することが観測される。

   成長によって回復する

赤ん坊化した前頭葉は「成長」によって回復する。それには赤ん坊が育つのと同じ条件と時間が必要である。抗精神病薬は成長を阻害し回復を妨げる。



お解りいただけただろうか、「狂気」は統合失調症の症状なのだ。

バカなことを言うな、統合失調症で大学に行けるはずがないだろう、という方もいるだろうがこの病気は知識や記憶には全く影響がないから症状によってはそれが可能になるのである。記憶や知識はそのままなのに感情だけが赤ん坊化している、という状態は普通の人間には理解することさえ不可能な事実である。

しかし、発症者全員が「狂気」を持つわけではない。狂気が生まれる理由を具体的に説明していこう。

●狂気が生まれる理由

まず感情の発達をグラフで示してみよう。具体的な数値測定は不可能なのであくまでも想定である。
感情の成長
次に統合失調症発症時の感情の様子を表してみよう。段階的、あるいは一気に感情が赤ん坊や胎児の状態にまで引き戻される。これを程度別に3つの段階に分けてみよう。どちらからⅠ期と考えるべきなのか難しいのだが統合失調症の症状として軽い方からⅠ期としてみよう。
統合失調症の回復
統合失調症のレベル
 



生後1年を過ぎると感情は急激に発達して行くのだが思春期にさしかかると性ホルモンの影響を受けて発達は一時停止または後退していく。これが思春期の感情の不安定さを生み、ストレスが加わることによって引きこもりや家庭内暴力などの症状が現れる。その後は順調に発達していくが、ストレスに弱い遺伝特性を持つ人は発達が遅く、人と同じことが出来ない、コミニケーションが苦手などという現象が起き、虐待やいじめや疎外に繋がることでストレスを生み統合失調症の発症に繋がっていく可能性が高い。

・Ⅰ期  感情年齢が310歳程度に低下

発症年齢にもよるが症状は性格が変わる、わがまま、依存症、キレやすくなる、攻撃的になる、幻聴、妄想、引きこもり、不登校などであるが「狂気」と呼べるまでのものは存在しない。これは息子に起きた一度目の薬で起きた症状である。統合失調症と診断されることはない。

・Ⅱ期 感情年齢が13歳程度に低下

幻聴や妄想が顕著になり、わけのわからないものに支配され行動してしまう。これは自己認識が希薄になることによって起きる現象であるが、短期的には記憶がある。動物虐待、残虐行為、刃物や武器に異常な興味を持つという心理が生まれる。

・Ⅲ期 感情年齢が胎児期~1歳程度に低下

錯乱や解離性障害が起き、自己認識はさらに希薄となって意識下のものに支配される。ろれつが回らなかったり、不気味な表情を浮かべるようになる。「人間」以下のレベルで記憶はほとんど形成されない。



「狂気」が支配するのはⅡ期とⅢ期である。Ⅱ期は意識があり短期的には記憶も残るがⅢ期は「キチガイ」の状態で記憶は残らない。ストレスや発作によってⅢ期の状態が一時的に現れることもある。

なぜこのような症状が起きるのかは赤ん坊の成長の様子を見れば明らかになる。胎児期には明確な意識を持つことはなく自己を認識することはできない。生まれ落ちた赤ん坊が泣くだけで笑うことがないのは感情が備わっていないからである。本能に支配され母親の乳を探し眠るのみでしかないが数か月すると「表情」が表れる。これは自分を認識し、感情が芽生えるからだ。さらにさまざまな外の世界と接触していくことで明確な「自己意識」を持てるようになる。

もちろん赤ん坊ならそれで良いのだが統合失調症の場合は記憶や知識は年齢並みのものである。記憶の中には欲望や悪意に基づいた妄想の類も記録されていることが問題になる。

●反社会性人格障害

精神科医や心理学者はこれらの狂気を「反社会性人格障害」と呼び自分たちとは全く違う「悪意を持った人間」として線引きしているがそれは全くの見当違いである。人間の本性は欲望と妄想の塊なのだ。どんなに正義感を持った人格者でもでも心の奥底に潜むそれらのものを「良心」や「理性」といったもので抑え込んでいるにしか過ぎない。そのことをわからない人間が多いのだが・・・。目を閉じて奥底に潜む自分の「本性」に向き合ってみればわかるはずだ。人はやりたいことを我慢し、やりたくないことを仕方が無いと思ってしているものだ。したいことはどんなことでも許され、やりたくないことはしなくてもいいと言われたら人間はどんな行動をとるだろう。

このような事件が起きるとそういうことをしてみたいという「予備軍」がたくさんいることが明らかになる。しかし実行に移さないのは「死刑にはなりたくない」「人生が終わってしまう」「親が悲しむから」というような良心や理性があるからでしかない。人を殺すことが許された戦争時に日本人であれ敵国であれ面白半分に人を殺した人が少なくなかったことも周知の事実である。残念ながらほとんどの場合人間の内面はそういうものなのだ。

感情が退化し明確な自己意識を持てず、記憶にある狂気や妄想の支配を受ける。疎外感や被害者意識を持った人間のそれは恐ろしいものである可能性が高い。それが妄想を飛び越えて現実のものとなった時に狂気となる。欲望や妄想は事件に繋がるようなものだけとは限らず物欲、名誉欲、支配欲などによってさまざまな非人間的、非社会的心理を生み出す。根底には愛されたい、認められたい、満足したいというような渇望が存在する。

前頭葉に異常が起きることも脳波が退化することもすでにわかっているのに、統合失調症であること、ストレスに弱い遺伝特性に起きることはいまだ認められていない。

●狂気はなぜ消えるのか

それでは狂気はなぜ消滅するのか?息子の場合徐々に狂気は消え、3年で発作的なものも完全に消えた。それは感情が成長し良心や理性が育まれたからだ。通常はこの過程となるはずなのだが今回の事件も佐世保の事件も長期間狂気が継続している。この理由は二つ考えられる。一つは前頭葉を萎縮する原因が継続している、ということだ。強いストレスが継続している、あるいは睡眠薬、抗不安薬、抗うつ薬などが継続的に服用されている場合は狂気は継続する。もう一つはケアできなかった場合だ。Ⅱ期Ⅲ期の場合は赤ん坊を育てるような愛情を持って成長させなければならない。赤ん坊が笑うのはなぜか?安心できる環境で「愛されている」実感があるからだ。この環境を維持しなければ感情の基礎となる部分が形成されないことになる。これが良心、理性、愛情といった感情の核になるものなのだ。

幸いなことに私は何が起きているのかを認識することができたので対応できたが、多くの場合それは難しい。核が形成されなければ正常な感情はいつまでたっても形成されない。精神科医も本当に必要な事を示せる方はごくわずかで、薬を処方すれば逆効果であることに気づいている人はいない。発症から時間が経っても事件に繋がるのは必要な愛情を受けられなかった「愛着障害」の結果なのだ。無論統合失調症という状況では無くて必要な愛情を受けられなければ同じ心理状況が作られることは言うまでもない。



秋葉原事件の犯人に死刑の判決が下った。この犯人を死刑にしても次の犯罪を止めることはできない。これは本人にはどうすることも出来ない「生物」としての「ストレス適応」が生む「エラー」なのだ。どうして誰もそのことに気づこうとしないのだろう。自然発生の狂気は少ない。ほとんどが精神科の薬と違法薬物に引き起こされているものだ。それが明らかにされればこれから失われていく多くの命や人生を救うことが出来る。


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