子どもに精神科の薬を飲ませてはいけないと言う人たちがいる。

アンチ精神科の方はもちろんだが「良心的」と呼ばれる精神科医もそういう発言をしている。また、欧州では18歳以下への投与を禁じている国も多く、日本でも抗うつ薬SSRISNRIが「効かないから」というバカげた理由ではあるが「18歳以下には使用しないように」という注意書きが追加される。

大人が飲んでもいい薬を「子どもは飲んでいけない」という根拠は一体どこにあるのだろうか?「良心的」な精神科医も「脳の正常な発達に重大な影響を及ぼす可能性がある」というような素人でも思いつきそうことを理由としているにすぎず、その科学的根拠も明らかにしていない。欧州で実際に18歳以下への投与を禁じているのは「副作用が顕著」だからという理由以外には考えられないのだが日本ではこれまで何の規制も注意書きすら存在しなかった。それどころか「発達障害・不登校・引きこもりも薬で治ります」というキャンペーンが行われ、「積極的に」子どもへの投与が行われてきた。中には3歳に満たない幼児へ投与した事例もあるというのだからあきれてしまう。

なぜ子どもに投与してはいけないのか?なぜ子どもに副作用が顕著に現れるのか?なぜ子どもに危険な薬が大人には危険でないのか?その理由を明確にできた専門家はいない。

大人は飲んでも良くて子どもはいけないものの代表格はアルコールである。なぜアルコールを子どもに与えてはいけないのか?その明確な理由を答えられる方はどれだけいるだろう。

「心身の健全な発達に重大な影響がある」と言われれば「そうだ、そうだ」という事になるだろうが「酔っぱらったら手を付けられない」「勉強しなくなる」「子どもに飲ませるものではない」「金がかかる」などという以外に飲んではいけない理由を答えられる人は少ないはずだ。

実は子どもがアルコールを摂取してはいけない明確な科学的根拠が存在する。アルコール依存症研究によってアルコールが成長期・思春期の脳を破壊する事実がすでに明らかになっているのだ。シナプスを盛んに形成して成長する時期にアルコールを摂取すると、感情の制御に重要な役割を果たすNMDA受容体の機能を低下させ、さらに神経細胞のアポトーシス(自殺現象)を誘発し脳の細胞を壊死させる、というものである。この現象が性格の変化、情緒の不安定化、うつ症状、摂食障害などの精神障害を引き起こし、「ヤングアルコホリック症候群」と呼ばれている。詳細は眞崎敏弘著「酒乱になる人ならない人」(新潮社)をご参照いただきたい。

本の中では触れていないがこの症状はNMDA受容体仮説と照らし合わせれば「統合失調症」だということが容易に理解できる。私たちが思っている統合失調症のイメージとは異なるがストレスによって発症する適応障害、PTSD、うつ症状、摂食障害などの精神疾患の大半が実は前頭葉の萎縮を伴う「統合失調症」であることが多くの専門家によって明らかにされている。

「ストレス解消」のためアルコールを飲む、と言う人も少なくない。しかし酔っぱらって一時的にストレスを忘れる事が出来てもストレス自体が無くなるわけではない・・・とも思うのだが、アルコールには抗不安薬と同じ「催眠・抗不安効果」がある事が本の中で紹介されている。その効果は抗不安薬と同じくNMDA受容体に作用することで安心をもたらす脳内化学物質GABAを増加させる働きによるものだとされている。

お判りになるだろうか?ストレスとアルコール、抗不安薬の脳に対する効果が同じで、同じく統合失調症を引き起こすということなのだ。ストレスとストレスを和らげる薬が同じ事を起こすはずがない・・・誰でも考えるこのとんでもない間違いは統合失調症の発症原理が「間違っていた」ことによるものである。

これが精神科の薬を子どもに飲ませてはいけない「明確な理由」ということだ。抗不安薬(睡眠薬)を子どもに服用させるという事はとんでもない量のアルコールを飲ませる事と同じということなのだ。抗不安薬や睡眠薬というと大きな副作用などないと考えがちだが、子どもにとってはとんでもない劇薬なのだ。思春期に統合失調症の発症が多いのも同じ理由である。

もうひとつの代表的な精神科の薬「抗うつ薬」の方はどうか?こちらは本では触れられていないが、興奮をもたらすグルタミン酸を増加させる抗うつ薬は同じくNMDA受容体を介して働くことがNMDA受容体仮説の中で明らかにされている。つまり抗うつ薬も抗不安薬も子どもにとっては大量のアルコールと同じ働きをする、ということである。さらに本当の事を言えば抗不安薬は麻薬であり、抗うつ薬は覚醒剤だという精神科医はけして言わない「事実」がある。これらの薬は統合失調症と「酷似」した中毒症状を起こすことが知られている。

統合失調症と診断されれば「抗精神病薬」が処方される。これは子どもであっても同じである。これは神経を弛緩させ統合失調症の陽性症状を抑えるためのものであるが「治す」ためには何の役にも立たないばかりか回復を「妨げてしまう」のだ。

不治の病と言われている統合失調症だが実は「治る」病気である。息子は一粒の薬も使わず治ったのだから間違いない。簡単に言えば前頭葉が初期化され「感情」だけが赤ん坊以下になってしまうのが統合失調症であって、初期化された前頭葉の細胞は赤ん坊が育つように再生されて行くのである。そのためには長い時間とストレスの無い環境と愛情だけが必要なのだが抗精神病薬はその「成長」を妨げるのだ。したがって薬を飲み続けているのに何年たっても回復しないという事が起きてしまう。子どもの時期は特に回復のスピードが速い。この時期を薬で無にすることはあまりにも愚かだ。

睡眠薬、抗不安薬、抗うつ薬、抗精神病薬、精神科を代表するこれらの薬は子どもに「絶対」飲ませてはいけないものなのだ。ストレスと薬が同じ働きをするということは子どもがストレスによって何らかの精神疾患を発症している状況で薬を飲めば大変な事が起きることは「当たり前」だという事になる。精神科の薬はほとんどの場合ストレスによって起きる何らかの精神疾患に処方される。この副作用が起きて当たり前の治療を精神科医は平然と行っているのである。その結果起きた副作用を「もともとの精神疾患が悪化した」と言ってはばからないのだ。

このとんでもない「間違い」はストレスによって脳に何が起きるのかを「勘違い」していたという精神科医療の根本的な誤りと日本人に多いストレスに弱い遺伝特性「COMT遺伝子多型」の存在が関係している。

なぜストレスとストレスを和らげるはずの薬が同じ症状を発症させるのか、大人なら大丈夫という事にはならない理由、統合失調症の正体については以前のブログと下記のホームページを参照してほしい。抗不安薬を飲んだ息子に起きたことの一部始終が記録してある。

先日小学生に睡眠薬を飲ませて意識を失わせた男が逮捕された。命に別条は無かったと報道されたが実際には脳にとんでもない損傷が起きている。いたずらでは済まない「重大な影響」をもたらす行為である事を誰も知らない。少女は以前とは別人になってしまっているはずだ。環境を整えて育まれなければ歪んだ人間が形成されてしまう可能性が高い。

このすでに明らかになっている理論を現実に当てはめようとする専門家が存在しないのはどういうことなのだろう?多くの子供たちの人生を犠牲にして何を守りたいのだろう?

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