だが、よく考えてみよう。不安を感じるからこそ私たちは行動を抑制できるのだ。例えば道路を横切ろうとする時に「車にはねられるかもしれない」という「不安」があるから左右を確認してから渡ろうとする。もし不安が無かったら確認などしないのだ。
「バカげている!いくら不安を感じなくても車が来るかどうか位確認するだろう?」と思う方も少なくないだろうが脳の論理回路は設定以上のことはできない。不安は「経験」によって積み重ねられていく。子供の飛び出しが多いのは経験が浅く「不安」を感じることができないからなのだ。
おわかりだろうか?不安な経験を積み重ねていくことでそれを「回避」するための論理回路が設定されるということなのだ。例えばあなたが殺したいくらい憎い相手がいたとしてそれを思いとどまる理由は何だろう。「犯罪者になるから、死刑になるから」「家族が犯罪者の家族になってしまうから」「相手が可愛そうだから」「相手の家族が苦しむから」「人を殺すなんて恐ろしいことはできない」・・・・殺すという先にある様々な「不安」が実行を思いとどまらせるということなのだ。その「不安」が消えたらどうなるか?よく考えればわかるだろう。
抗不安薬は不安を感じる神経細胞の受容体をブロックし信号を伝わりにくくすることで効果を発揮すると言われている。だがこれは「確かめられていない事実」でしかない。確かに受容体の機能が低下することは間違いないのだがそれが「ブロック作用」によるものだという確証が得られているわけではなく、ある薬に「抗不安作用」があってその効く仕組みを「おそらくそうだろう」と考えたという程度のものでしかないのだ。
抗不安薬の効果は「ブロック作用」によるものではなく「シナプスの刈込」の結果であることが東大大学院医学系研究科の研究によってほぼ明らかにされている。睡眠薬・抗不安薬(安定剤)・抗うつ薬・麻酔薬などによって過剰分泌される沈静性情報伝達物質GABAが「シナプスの刈込」を引き起こすのだ。つまり信号を受ける受容体に蓋をするのではなく信号を送る電線である軸索シナプスを「削除」することで不安はなくなるということなのだ。「経験」によって作られたシナプスは再び経験を繰り返さなければ作られることはない。つまり人間の思考・行動を統括する前頭葉が何の経験もない子どもや赤ん坊の状態に「リセット」されてしまうということなのだ。
とりあえず「今不安で眠れない」という状態はクリアできるが不安によって構成された理性・良心はもとより人格・愛情など「人間」としての感情が「消滅」してしまったらどうなるか?これが「性格が変わる」「犯罪者になる」ということであり、症状が進めば「統合失調症」という精神病になっていく。多くの不可解な凶悪犯罪に睡眠薬・抗不安薬・抗うつ薬など精神科の薬が関わっているのはこの理由によるものなのだ。もちろん薬を飲んだすべての人がそうなるわけではなく日本人に多い「ストレスに弱い遺伝特性」を持つ人に多発する。GABAの分解能力の差が関係すると私は考えている。ストレスに弱い遺伝特性を持たない人でも「依存症」が生じうつ症状など精神に変調をきたす可能性は大きい。
GABAはストレスによっても過剰分泌されるから薬を飲まなくても起きることはもちろんある。ストレスが性格を変え統合失調症を起こすことは間違いないが、薬はその何十倍何百倍という効果がある。不安はないに越したことはないが、あなたの人格はすべて「不安」によって作られていると言っても過言ではない。不安を無くしてはいけない。不安を解消する方法、ストレスから逃れる方法を考えてつきあっていくよりほか道はない。 詳細は下記を参照してほしい。 https://toshioy001.wixsite.com/tougou