統合失調症は以前は精神分裂病と呼ばれた精神病である。一般的には「キチガイ病」「治らない病気」というイメージがあって私自身もずいぶん長い誤解していた部分がある。異常な興奮や幻覚、幻聴などの「陽性症状」と意欲減退、感情鈍麻などの「陰性症状」が現れるとされる。
発症原因は「よくわかっていない」とされているが、ドーパミンの働きを遮断する抗精神病薬が陽性症状の治療に効果を示すこと、また、ドーパミンの働きを活性化させる薬剤が統合失調症に似た幻覚・妄想を引き起こすことから、中脳辺縁系でドーパミンが過剰に分泌されることが原因ではないかとする説(ドーパミン仮説)、セロトニンの働きを遮断する作用のある抗精神病薬を投与すると、陰性症状が改善することがみられることから、セロトニンが陰性症状の発現と関連しているのではないかという説(セロトニン仮説)がこれまで主流の考え方だった。
ところがこれらの仮説を覆す考え方が注目を集めている。それが「NMDA受容体仮説」である。この仮説が導かれたのはドーパミン仮説やセロトニン仮説では矛盾点が多くつじつまの合わない部分があったからだと思われる。NMDA受容体仮説を説明することはとても難しいのだが、神経伝達物質仮説の中で重要な役割を持つグルタミン酸(興奮性)やGABA(抑制性)の代謝に関わるNMDA受容体の機能低下が発症の原因ではないかというものである。NMDA受容体は統合失調症を引き起こす遺伝子的要因(ストレス虚弱性関連遺伝子)と関連性があり、神経の分化、発達、細胞死(アポトーシス)などにも関係している。
詳しく解説した論文がたくさん公表されているので興味のある方はご参照いただきたい。ただしかなり難解である。https://www.jspn.or.jp/journal/journal/pdf/.../journal112_04_p390.pdf
NMDA受容体は以前ヤングアルコホリック症候群の発症に関わっていることを取り上げた。思春期に大量の飲酒を繰り返すことによって神経細胞のアポトーシス(自殺現象)が起き人格異常や精神疾患が現れるというもので、この現象にNMDA受容体が関連しているということだった。NMDA受容体仮説によればこのヤングアルコホリック症候群の症状が「統合失調症」だということである。さらにアルコールと抗不安薬(睡眠薬)の脳に対する作用が「同じもの」であることがわかっているので、思春期に抗不安薬を服用すれば統合失調症が発症するというごく簡単な結論が出る。これまで出されなかったのが不思議でならない。
統合失調症はほとんどの場合ストレスによって発症する。ストレス虚弱性(COMT遺伝子多型など)の遺伝特性を持った人が強いストレスに繰り返しさらされるとNMDA受容体の機能が低下(小規模な神経細胞のアポトーシスが起きる)し精神疾患が発症する。これが適応障害、不安障害、うつ症状(うつ病とは異なる)、ひきこもり、不登校、家庭内暴力、摂食障害などの症状であり、初期の統合失調症の症状ということになる。前頭葉の萎縮が見られ、抗うつ薬が効かないとされるこの症状が統合失調症であることを指摘する精神科医は少なくない。これらの症状の発症によりストレス虚弱性が増し、更なる大きなストレスが加わることによって大規模な神経細胞のアポトーシスが引き起こされ明確な統合失調症が発症するということになる。
ストレスによって分泌されるストレスホルモンの一種であるL-ドーパ(ドーパミンやノルアドレナリンなどグルタミン酸の前駆体)という「自前の覚醒剤」を分解できないCOMT遺伝子多型という遺伝特性がストレス虚弱性に繋がっていると私は考えている。分解されない覚醒物質がNMDA受容体の機能を低下させることで統合失調症を発症させる。
麻薬や覚醒剤が錯乱や統合失調症と「酷似した」中毒症状といった副作用を起こすことが知られている。前頭葉の脳細胞が死滅することが確認されているのでNMDA受容体が神経細胞のアポトーシスを引き起こす現象である。麻薬や抗不安薬はGABAに働き、覚醒剤や抗うつ薬はグルタミン酸に作用する。NMDA受容体が直接的に関連しているのだからすべて同じ原理で統合失調症が発症することになる。ストレスとストレスを緩和するはずの薬がなぜ同じ現象を起こすのか?それはストレスによる精神疾患が抗不安成分や覚醒成分が「不足」して起きるという間違った考え方がされてきたからだ。ストレスのよって起きる精神疾患はいわば自前の覚醒剤中毒によって起きる。覚醒剤中毒の患者に覚醒剤を与えたらどうなるか誰にでもわかるだろう。精神科医はこんな初歩的な間違いをしてきたのだ。
結論としてNMDA受容体仮説によれば抗不安薬、抗うつ薬がストレス性精神疾患を発症している人に対して明確な統合失調症を発症させることは疑いようのない「事実」ということになる。これらの薬の添付文書には「統合失調症の発症・悪化」を示す記述があるのはこのためである。発症率は1%以下とされているが、ストレス虚弱性関連遺伝子特性や思春期の発症特性、ストレス性精神疾患発症時の特性は考慮されていない。人種的ストレス虚弱性関連遺伝特性と考えられるCOMT遺伝子多型はユーラシア大陸のモンゴロイドを中心に分布していて自殺率の高さと関連していると私は考えている。いわゆる欧米には少ないと思われ、欧米の精神科医療体系を基本としている日本では数字が大きく異なる可能性が高い。
ストレス虚弱性遺伝特性を持っていて、思春期にストレス性精神疾患を発症している時の危険性は非常に高くほぼ100%である。つまり息子や佐世保同級生殺害の少女は起きて当然の統合失調症を発症したのである。可能性ではなく紛れもない事実である。少なくとも学術的にはこの事実は確定している。わかっていた理論によって息子は人生を奪われ、佐世保の少女は殺人犯にされた。雅子様も皇太子妃不適格とまで言われた。私が研究するまでもなくすでに答えは出ていたのに精神科医は何をしていたのだろう?NMDA受容体仮説が正しければ(現実に起きていることはすでに正しさを証明している)精神科の治療はすべて間違っていたことになる。この大スキャンダルを故意に隠蔽するために「仮説」としておくのかもしれない。
統合失調症の話に戻ろう。
統合失調症は範囲の広い病気の総称であるからすべてとは言えないが、少なくともストレスと副作用によって起きる統合失調症は前頭葉神経細胞のアポトーシスによって半永久的に前頭葉の機能が低下することによって起きることはもう疑いようがない。問題は前頭葉の機能低下が何をもたらすか、である。
その前に統合失調症という病気が何であるのか生物学的に考えてみよう。根本的にはストレスによって起きるのだからストレスに対応するための何らかのシステムなのではないか?という疑問が沸いてくる。もしそうだとしたらこれは本当に「病気」なのだろうか?
前頭葉は感情・情動をコントロールする機能を持つ。大脳辺縁系から発せられる本能や欲望、恐怖などの生物的欲求が理性、社会性、人格、愛情などによって制御され記憶・知識と照らし合わせて言動や行動に反映させていく。前頭葉の機能が低下すると大脳辺縁系からの信号がフィルターなしにダイレクトに表現される。その結果、抑制が効かない言動・行動、異常な興奮、幻聴、幻覚、うつなどの症状が現れる。
これはストレスを生命の危機と勘違いした脳が生命を維持するために反撃、逃避のために「感情」を消シャットダウンするシステムなのではないか?とも思っている。
年齢に応じた人格は成長によって積み重ねられた「感情の記憶」によって形作られ、知識や物事の記憶とは全く別に「前頭葉」に記憶される。この「感情の記憶」がフィルターとなって動物的な欲求を人間としての社会性に適合させる。前頭葉の機能低下は「感情の記憶」が消去されることによって起きる「感情の記憶喪失」ということになる。これは記憶知識は年齢並みのまま「感情」だけが赤ん坊の状態にリセットされるということである。専門家は統合失調症の症状を細かく分析しているがこの段階までは言及していないが「赤ん坊のようだ」「「子供みたい」と表現されるのだから間違ってはいない。
私の息子は感情が「赤ん坊になった」と言われ「退行」という病名がつけられた。赤ん坊の脳波が現れ憤怒失神という赤ん坊の症状が起きた。しかしよくよく調べて見ると症状は統合失調症にそっくりだった。統合失調症の症状は「感情が赤ん坊になった」と考えるとすべて理解できる。ある専門家は「もしそうだとしたらおむつをするようになるはず」と言ったが記憶知識は年齢並みなのだからそうはならない。近くにいる赤ん坊や幼児の様子をよく観察してみよう。食べたいものを食べたいだけ食べ、欲求が満たされないと癇癪を起こす。所構わず奇声を上げ、大きな声で歌を歌う。わけのわからない話をし、現実でないものが聞こえたり見えたりする。わけのわからないものに怯え、虫や小動物を殺したりいじめたりする。赤ん坊や幼児がする分には「子供だから」で済むことを大人がすれば「統合失調症」ということになる。統合失調症の患者は着替え、歯磨き、入浴といった日常のことを自ら行おうとはしなくなる。赤ん坊や幼児がこの作業を自ら行うことはないということである。
赤ん坊にリセットされたということは「育てればいい」ということにならないだろうか。
私は「普通は薬を使う」という医者の言葉を拒否した。「薬を使わないと大変なんですよ」という医者の言葉にも動じなかった。二度と薬に頼らない、そう誓った。確かに大変だった。地獄の苦しみを3年以上耐えた。その結果息子は「人間に戻った」のである。息子は赤ん坊から長い時間をかけ「成長」することによって回復したのだ。
お分かりになるだろうか、ストレスや副作用によって発症する統合失調症は前頭葉に記憶された「感情の記憶」が消去され赤ん坊の状態にリセットされることによって起きる。赤ん坊になったのだから回復させる唯一の道は「成長させること」であってそれ以外の道は無い。統合失調症の治療薬は異常な興奮、幻聴などの陽性症状を抑えるためにドーパミン阻害剤などが使われる。これはボーとさせる薬で確かに脳の異状活性は抑えられる可能性があるが、その間は「感情」は成長することがない。中には「脳の萎縮」を引き起こす薬もあると言われている。これはNMDA受容体の機能を低下させ統合失調症を「悪化」させることを意味する。結局のところドーパミン仮説に従って行われている治療は統合失調症を「治す」ことはできないということだ。薬を飲み続ける限り感情はいつまでたって成長することなく、大人の体と知識を持った赤ん坊のまま年令を重ねて行くことになる。治ったように見えてもケアを誤ればやがて未成長の感情がとんでもない事件を起こしていく。その事例が神戸連続児童殺傷事件や新潟少女監禁事件などである。
統合失調症を発症された家族を持つ方は数多い。その苦しみは手に取るようにわかる。
統合失調症を発症されたお子さんの闘病日記をブログで公開している方がいらっしゃる。
その中で薬を飲んだ直後に歌を歌いだすなど様子がおかしくなるのを気にしていらっしゃる様子がつづられている。これはまさに一時的な統合失調症の悪化であり、薬を飲んだ直後に妻に起きた現象証拠なのだが、疑問を感じながらもそこまではたどり着いていないようだ。そして長い時間が経っているのに治っていない・・・。
統失家族の闘病日記
こちらの方はかなり薬の副作用を理解していらっしゃっていて薬を減らして回復に近づいていらっしゃる様子がうかがえるがまだ完全ストップすることにはためらいがあるようだ
続・精神障害の子供達との日々
抗うつ薬を飲んだ患者が自殺するのはこの一時的に悪化する時である。また、連用することによってストレス虚弱性が増し、ほんの少しのストレスで発作を起こしてしまうからでもある。精神科医はどうしてこのことに気付こうとしないのだろう。
統合失調症は安全、安心でストレスの無い環境を作り、危険に配慮しながら「愛情」を持って育てることによって回復する。しかし大人の体と知識を持った赤ん坊の世話は大変である。周囲の無理解とも闘わなければならない。長い時間学校にも行かず仕事もしないことを許さなければならない。成長の過程で動物を虐待したり刃物に興味を持ったりする時期が訪れる。それを否定することなく話を聞いてあげなければならない。生命の危険も無いとは言えない。長い時間をただ待つだけの苦しみは体験したものでなければわからない。だが「治したい」と思うのであればほかに道は無い。リスクを避けて薬で症状を抑え、一生人間にさせない道を選ぶことも一つの選択として間違っているとは言えない。
こんなことを言うのはおそらく世界でも私くらいだと思うのだが、理論は分からなくても統合失調症を「治療しない」選択をする方も増えているらしい。直感的にそう思う方がいても不思議では無い。精神科は必要ない。もちろん私の言うことを信じて何かあっても一切責任は取れないのであくまでも自己責任でご判断いただきたい。
一介の素人の言うことを信じることは難しいとは思います。あなたのご家族は精神科の治療受けて治りましたか?私の息子は何の治療もせず治りました。今家族はとても幸せな時間を過ごしています。
息子に起きた副作用と回復の過程を記録した3年の日記と詳しい考察は下記をご参照ください。

http://toshioy001.wix.com/tougou