脳内物質の異常による一時的な副作用説には多くの矛盾が存在する
米コネチカット州銃乱射事件を受けてこの事件が精神科の薬の副作用であると主張している方が私以外にも多数存在している。人権団体の関係者を中心に従来から不可解な凶悪事件と精神科との関連を訴えて来られた方々である。医療履歴の開示や血液検査をするべきだというような主張をされている。
これら方々がその根拠としているのが脳内物質異常という考え方である。精神科薬の副作用研究の第一人者と言われる杏林大学の田島治教授や医薬ビジランスセンターの浜六郎氏などが主張する理論で、米のFDA関係者、デビットヒーリー博士など著名な研究者が共通の考え方をしている。つまり、セロトニンなどの分泌異常によって引き起こされるうつ病などの症状を補正する働きを持つ薬が想定外の脳内物質の異常を引き起こし、興奮、自殺企図、攻撃性が増すなどのアクチベーションシンドロームとも呼ばれる症状を引き起こすというものである。続発する不可解な凶悪事件も精神科の治療が関係していることからこの症状が事件を引き起こすと少なくない方が主張してきた。だが田島教授や浜氏は関連が明確であるはずの多くの不可解な凶悪事件には触れず、「攻撃性が増す」副作用があること自体は認める厚生労働省も関連を認めていない。事件の裁判でも弁護側からさえ副作用の可能性はほとんどの場合指摘されない。米の事件でも同様で直接の関連が認められたものはほんのわずかで、ほとんどは関連する可能性すら報道されない。いったい何故なのだろうか。
その大きな理由は「つじつまが合わない」ことだろう。薬によって一時的に起きると言ういわゆる「心神耗弱」(錯乱状態)や「せん妄」(半錯乱状態)これらの副作用ではほとんどの凶悪事件は説明できない。
具体的には次のような矛盾が存在する。
・一時的な症状ではない
錯乱や半錯乱状態ではなくごく普通の精神状態で事件を起こし、逮捕後も精神状態が変わらず、いつまでたっても反省の意思を示さない。数日から数か月とされる回復期間を過ぎても状態が変わらない。
・はっきりした意識と記憶
錯乱や半錯乱状態では理路整然とした意識を持てず、その状態時の記憶ははっきりしていないはずであるが、多くの事件は冷静に準備され、事件後の記憶もはっきりしている。
・もともとそのような性格ではないという証言
ほとんどの場合、「おとなしく目立ない性格だった」「やさしい感じの良い人だった」などいう事件とは全く結びつかない証言が出てくる。急に性格が変わったとか悪い性癖を隠し持っていたなどということも考えられないわけでは無いが、そう解釈するにはかなり無理がある。
・多剤処方や長期連用によるものとは限らない
一時的な副作用は多剤処方や長期連用によって生じることが多いとされるが単一の薬や服用してすぐに事件を起こしている場合が少なくない。
・抗不安薬による事件
抗うつ薬による副作用については述べられているが「抗不安薬」による副作用については言及がない。しかし抗不安薬単剤での事件例が少なくない。
・感情が無い
ほとんどの事件で初めて人を殺したりしているのに動揺する様子が見られない。年齢並みの感情変化がなく、まるで幼児のような意味不明な言動、行動が見られる。
精神科治療との関連は指摘されているのにこれらの矛盾点についてはほとんど考えられて来なかったらしい。それが事件と薬の関連をかえって遠いものにしてきてしまったのではないだろうか。
一時的な症状が起きること自体を否定するつもりはないし、それによって起きる事件があることも確かだと思っている。しかしほとんどの凶悪事件には当てはまらない。
これらの矛盾は事件が一時的な副作用によるものではなく、薬によって前頭葉が萎縮することによって脳梗塞と同じ現象が引き起され「半永久的」に「感情」だけが幼児化することによって起きると仮定すればすべてが解決する。幼児化した感情が正常な記憶、知識をコントロールすることができなくなって引き起こされる事件であることはほぼ間違いない。「そんなバカなことは起きるわけが無い」医師や専門家を含め超えることができない常識の壁の向こう側に答えがある。
私の息子に間違いなく起きた副作用の記録が事件を解決する唯一のカギである。3年の詳細な記録と考察は下記をご参照いただきたい。
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